PM研修を自社で作るか、外部の研修会社に委託するかは、次の4つの軸で判断します。(1)対象人数が多く、毎年続ける前提か。(2)社内に、カリキュラムとして体系化できる経験者がいるか。(3)立ち上げにかけられる期間に余裕があるか。(4)将来的に完全内製へ進める方針かどうか。4つのうち複数が「外部」側に当たるなら、外部委託を軸に検討します。対象人数が多く継続前提で、社内に経験者がいて時間をかけられるなら、内製のほうが長期的に有利です。

本記事では、この4つの判断軸と、外部委託を選んだ場合に内製の芽を残す進め方、そのまま社内で使える検討の順序を整理します。

判断の4つの軸

軸 内製が向くケース 外部委託が向くケース
(1)対象人数と継続性 毎年一定数の受講者がいて、今後も続ける前提がある 今回だけ、あるいは数名程度の単発
(2)社内の経験者 PMの実務を体系化してテキスト化できる人材が社内にいる 教え方を型にできる経験者が社内にいない
(3)立ち上げにかけられる期間 カリキュラムの設計・試行に数ヶ月をかけられる 来期までに研修を始めたいなど、時間に余裕がない
(4)将来の内製化方針 最初から自前で育てる方針が決まっている 当面は外部の型を使い、内製は後で判断する

この4つはPMOの内製・外部支援を判断する軸(PMOは内製か外部支援か)と構造は似ていますが、PM研修では「対象人数と継続性」が最初の分岐点になる点が異なります。PMOは常時1〜数名の体制で足りるのに対し、研修は毎年の対象者数が規模を決めるためです。

4つの軸をどう使うか

(1)対象人数と継続性 毎年新任PMが一定数発生し、同じ内容の研修を繰り返す前提があるなら、立ち上げコストをかけて内製する方が2回目以降の追加コストを抑えられます。今回だけの単発、または数名程度であれば、外部の公開講座やクローズド研修を使う方が合理的です。公開講座とクローズド研修の料金実例はPM研修の費用はいくらかに整理しています。

(2)社内に体系化できる経験者がいるか PMの実務経験者が社内にいても、その経験を「誰が受けても同じ水準で学べるカリキュラム」として体系化できるかは別の能力です。この作業ができる人材がいない場合、内製を無理に進めると教える人によって内容がばらつき、属人的なOJTのみと同じ状態に陥りやすくなります(詳細は新任PMの育成カリキュラムはどう設計する?)。

厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」をJILPTが整理した記事によると、OFF-JTを実施した事業所は73.8%で、教育訓練機関として「自社」を挙げた割合は正社員75.2%・正社員以外83.5%と、いずれも最も高い値でした(JILPT「OFF-JTを実施した事業所は7割超」https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/08_09/kokunai_07.html、2026年10月28日確認)。多くの企業は複数の手段を組み合わせており、「自社」が最多であっても外部機関の併用を排除してはいません。体系化できる経験者がいなければ、「自社」の実施は形だけになります。

(3)立ち上げにかけられる期間 カリキュラムの体系化には、現状把握・到達目標の設定・OFF-JTとOJTの組み合わせ設計・評価の仕組み化という4ステップが必要で、兼務の担当者が本来業務と並行して進めると数ヶ月から半年程度かかります(詳細は新任PMの育成カリキュラムはどう設計する?)。来期の体制変更までに研修を始めたいなど期限が先に決まっている場合は、まず外部研修で期限内に立ち上げ、体系化は次のサイクルで検討する方が現実的です。

(4)将来的な内製化方針 最初から「自前で育てる」方針が決まっているなら、初回から内製に投資する価値があります。方針がまだ決まっていないなら、最初は外部に依頼し、運用しながら内製化の判断を先送りする方が無理がありません。方針が未定のまま内製に踏み切ると、立ち上げに費やした期間と人件費が、方針変更時に回収できなくなります。

PM研修を内製するか、外部委託するか 内製が向くケース (1)対象人数が多く、継続前提がある (2)体系化できる経験者が社内にいる (3)立ち上げに数ヶ月〜半年かけられる (4)自前で育てる方針が決まっている 外部委託が向くケース (1)対象人数が少ない、または単発 (2)体系化できる経験者が社内にいない (3)期限が先に決まっていて急ぎたい (4)将来の内製化方針がまだ未定 4つのうち複数が当たる側を軸に検討する
図:PM研修の内製・外部委託を判断する4つの軸。対象人数と継続性・社内の経験者・立ち上げ期間・将来の内製化方針のうち、複数が当たる側を軸に検討する。出典:編集部作成、確認日2026年10月28日

外部委託でも内製の芽を残す進め方

内製か外部委託かは、一度決めたら固定するものではありません。外部委託を選ぶ際は、カリキュラム構成・演習資料・講師用のファシリテーションノートを納品物として引き継げるかを契約前に確認しておきます。初回は外部講師が進行し、2回目以降は社内の担当者が同じ資料を使って運用できれば、立ち上げの型づくりだけを外部に任せ、運用は内製に残すことができます。反対に「研修の実施だけを依頼し、資料は持ち帰れない」契約だと、翌年も同じ費用を払い続けることになり、対象人数が増えて継続性が高まった段階でも内製へ移行する手段がなくなります。最初に外部へ依頼する時点で、将来的に内製へ移すのか、ずっと外部に任せ続けるのかを決めておくことが、後になって選択肢を失わないための分かれ目になります。

検討の順序 ― そのまま社内で使える進め方

  1. 対象者を定義する:誰を対象にするか(新任PMか、中堅か)、何名か、今回だけか毎年続けるかを先に決めます。
  2. 社内の経験者を洗い出す:PMの実務経験があり、かつその経験を資料化・演習化できる人材が社内にいるかを確認します。実務経験と「教える力」は別の能力であるため、両方を満たす人かどうかを見ます。
  3. 立ち上げにかけられる期間を確認する:研修開始の期限が先に決まっているかを確認し、内製の設計に数ヶ月かけられるかを判断します。
  4. 将来の内製化方針を決める:今回は内製化への第一歩と位置づけるか、当面は外部に任せ続ける前提かを、経営・人事として決めます。
  5. 外部に委託する場合は、引き継ぎ条件を契約前に確認する:カリキュラム資料・演習教材・講師ノートを引き継げるか、引き継ぎ可能な場合の追加費用があるかを確認します。

4つの軸を自社に当てはめた結果、外部委託に進む場合は、形式・対象レベル・カリキュラム・費用・定着支援の5つの比較軸で研修会社を選ぶ段階に進みます。具体的な比較軸はPM研修サービスの選び方比較ガイドに整理しています。

費用とPMPに関わる注意

外部委託を検討する場合、公開講座とクローズド研修で見積りの単位が異なるため、総額だけで比較すると判断を誤ります。公表されている価格の実例と比較の順序はPM研修の費用はいくらかにまとめています。

PMP資格の取得を外部委託の目的に含める場合は、制度上の注意があります。PMP受験資格に必要な「35時間の公式研修(35 Contact Hours)」について、PMIは2026年12月1日以降、ライブ(講師つき)形式でこの要件を満たせる提供元を、PMI Authorized Training Partner(ATP)・China REP・PMI認定学術プログラムに限定します(オンデマンド型の自己学習講座は提供元を問わず対象です)(PMI公式ブログ「PMP 35-hour training requirement」https://www.pmi.org/blog/pmp-35-hour-training-requirement、2026年10月21日確認)。当社はPMI ATPではないため、同日以降、当社の研修はこの35時間要件の対象になりません。社内のPM研修とPMP受験対策は別の目的であり、当社のPM研修は、受験前後の学習計画の設計や、資格取得者を含めた社内展開の段取りとして活用できます。

まとめ

  • PM研修の内製・外部委託は、(1)対象人数と継続性、(2)社内に体系化できる経験者がいるか、(3)立ち上げにかけられる期間、(4)将来の内製化方針の4つの軸で判断します
  • 4つのうち複数が当たる側を軸に検討し、どちらか一方に決め切れない場合は、最初の立ち上げだけを外部に委託し、資料を引き継いで運用を内製に移す進め方も取れます
  • 外部委託の契約時点で、カリキュラム資料・演習教材・講師ノートを引き継げるかを確認しておくことが、後で内製化の選択肢を失わないための分かれ目になります
  • PMP受験対策を目的にする場合は、2026年12月1日以降の当社研修の位置づけを踏まえ、社内のPM研修とは別の目的として扱ってください

自社の対象人数・経験者の有無から研修の持ち方を相談したい方は、PM研修の詳細はこちらをご覧ください。公開講座「プロジェクトマネジメント基礎研修(2日版)」は1名から受講でき、まず中身を確かめてから内製化の検討を進めることもできます。

内製・外部委託の判断や、立ち上げの進め方について相談したい方は、ご相談・お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。


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