結論から。 IT導入補助金は2026年度、「デジタル化・AI導入補助金2026」として実施されています。会計ソフトやAIツールなどソフトウェア・クラウド中心の投資はデジタル化・AI導入補助金、省人化ロボットや専用機械などハードウェア・設備投資は中小企業省力化投資補助金という住み分けが基本です。補助上限額はデジタル化・AI導入補助金の通常枠が最大450万円、省力化投資補助金はカタログ注文型が最大1,500万円、一般型が最大1億円と、扱う投資規模も異なります。枠ごとの補助率・上限額・対象経費を、事業事務局の公式サイトで確認した数値で整理します(確認日:2026年8月20日)。
デジタル化・AI導入補助金2026の枠と数値
デジタル化・AI導入補助金2026には複数の申請枠があり、枠によって補助率・上限額・対象経費が異なります。中心となる通常枠に加え、サイバーセキュリティ対策やインボイス対応を後押しする専用枠が用意されています。
| 枠(類型) | 補助率 | 補助上限額 | 対象経費 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1/2以内(全従業員の30%以上を、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で3か月以上雇用していた場合は2/3以内) | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満/4プロセス以上:150万円以上450万円以下 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)、機能拡張・データ連携・セキュリティ等のオプション費用、導入コンサルティング・設定・保守などの役務費 |
| セキュリティ対策推進枠 | 中小企業1/2以内、小規模事業者2/3以内 | 5万円〜150万円 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスの導入費用・利用料(最大2年分) |
| インボイス枠(ソフトウェア) | 50万円以下部分:中小企業3/4・小規模事業者4/5/50万円超〜350万円以下部分:2/3 | 350万円以下 | インボイスに対応し、会計・受発注・決済のいずれか1種類以上の機能を持つソフトウェアの購入費・利用料 |
| インボイス枠(ハードウェア) | 1/2以内 | PC・タブレット等10万円、レジ・券売機等20万円 | PC・タブレット、レジ・券売機等の購入費(ハードウェア単独での申請は不可) |
出典:it-shien.smrj.go.jp「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「インボイス対応類型」各ページ、確認日2026年8月20日。通常枠は年複数回の締切制で運用されており、直近の1次〜4次締切分は締切2026年8月25日17時、交付決定2026年10月7日を予定しています(it-shien.smrj.go.jp/schedule/、確認日同上)。
中小企業省力化投資補助金の2類型
省力化投資補助金には、汎用製品をカタログから選ぶ「カタログ注文型」と、個別の設備・システムを構築する「一般型」の2類型があります。補助上限額は2026年3月19日に改定されており、下表は改定後の値です。
| 類型 | 補助率 | 補助上限額(従業員規模別・通常/大幅賃上げ特例時) | 対象経費 | 公募状況 |
|---|---|---|---|---|
| カタログ注文型 | 1/2以下(全規模共通) | 5名以下:200万円/300万円、6〜20名:500万円/750万円、21名以上:1,000万円/1,500万円 | 製品本体価格、導入経費 | 随時受付 |
| 一般型 | 中小企業1/2(大幅賃上げ特例時2/3)、小規模企業者等2/3 | 5名以下:750万円/1,000万円、6〜20名:1,500万円/2,000万円、21〜50名:3,000万円/4,000万円、51〜100名:5,000万円/6,500万円、101名以上:8,000万円/1億円 | 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費 | 第7回締切2026年7月31日17時(採択発表2026年11月中旬予定)。第8回は公募開始2026年8月18日、申請受付開始2026年9月中旬(予定)、締切2026年10月中旬(予定)、採択発表2027年2月上旬(予定) |
出典:shoryokuka.smrj.go.jp「カタログ注文型」「一般型とは」「スケジュール(一般型)」各ページ、確認日2026年8月20日。一般型の大幅賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率6.0%以上かつ事業所内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上を満たす場合に適用されます。
対象外経費 — 申請前に必ず確認する
省力化投資補助金のカタログ注文型では、次の経費が対象外とされています(shoryokuka.smrj.go.jp/catalog/about/、確認日2026年8月20日)。
- 中古品
- 交付決定前に購入した省力化製品
- 消費税等の公租公課
- 委託・外注費
- 移動交通費・宿泊費
一般型は個別の設備・システムを審査するため、対象外経費の細目は案件ごとに公募要領で確認する必要があります。
デジタル化・AI導入補助金の通常枠・セキュリティ対策推進枠は、対象経費がソフトウェア購入費・クラウド利用料・関連役務費に限られており、PC・タブレット等の汎用ハードウェアは含まれていません(it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/、確認日同上)。ハードウェアを補助対象にしたい場合は、インボイス枠での申請が必要です。
使い分けの判断軸
比較表を踏まえると、判断軸は3つに整理できます。
投資対象:ソフトウェア・クラウドサービスならデジタル化・AI導入補助金、機械・設備ならカタログ注文型または一般型の省力化投資補助金です。両方にまたがる投資(例:AI搭載の検品装置とクラウド管理システムを同時導入する場合)は、経費区分ごとにどちらの制度で申請できるか個別に確認が必要です。
投資規模:小口の投資(〜数百万円)はデジタル化・AI導入補助金の通常枠かカタログ注文型、大口の設備投資(数千万円〜1億円)は一般型が対応範囲です。カタログ注文型と一般型は併願できないため、投資規模で先に絞り込むと選定が早くなります。
申請の締切方式:デジタル化・AI導入補助金とカタログ注文型は随時・複数回の締切制、一般型は回次制です。一般型を検討する場合は、公募状況(本記事執筆時点で第8回は公募開始済み、申請受付は9月中旬、締切は10月中旬が予定)を事前に把握しておく必要があります。
DXの投資計画を立てる段階で迷う場合は、DX推進の支援メニューで投資対象の切り分けから相談できます。PM研修分野の助成金活用については、PM研修における助成金活用ガイドでも取り上げています。
申請の流れ
いずれの制度も、電子申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が前提です。GビズID公式サイトによると、2026年7月9日の運用変更でオンライン申請の審査は24時間365日速やかに行われるようになった一方、書類申請の審査期間は最大1か月です(gbiz-id.go.jp/top/、確認日2026年8月20日)。交付決定前に発注・購入した経費は対象外になるため、公募締切から逆算してGビズIDを先に取得し、①交付申請(必要書類・事業計画の提出)、②交付決定、③交付決定後に発注・契約・導入、④実績報告、という順序を守ることが申請の成否を分けます。
まとめ
2026年のDX補助金は、ソフトウェア中心のデジタル化・AI導入補助金と、設備投資中心の省力化投資補助金という住み分けに再編されています。補助率・上限額・対象経費は枠ごとに異なるため、投資対象と投資規模を先に整理してから、該当する枠を選ぶことが申請の第一歩になります。補助率・上限額は年度ごとに改正されます。本記事の値は2026年8月20日時点でit-shien.smrj.go.jp/shoryokuka.smrj.go.jpに掲載されていたものです。
